個人的な事情を熟慮して判断して
パンデミックの期間に大きく値上がりしたロサンゼルスの不動産市場。2022年の下半期に入ってから、未だじわじわと上昇する家の価格に加え、金利も上半期の3%台から6%近くまで急速に上がり、持ち家購入には消極的な見方も広まっています。今の市場をどう読み取ればいいのか、いくつかの観点に分けてまとめてみました。お家購入は個人的な事情によっては異なった判断をする必要もあるので、考え方の参考にしてください。
需要はまだ高い!?
ここ数年でバブルともいえるほど大きな伸びをみせたロサンゼルスの不動産価格ですが、そろそろ下がるのでは、と予想している方もいるかもしれません。価格が下落するならば、買うのを待ったほうがいいのは当然ですが、株価市場と同じように、不動産の価格も今後どう動くかを正確に予想することは不可能なんです。事実、サブプライムローン問題を発端にした2008年の金融恐慌時にくらべれば、パンデミック前も今も市場は安定しているという見方があります。特にロサンゼルスでは、パンデミック中に、リモートでどこでも仕事できるのなら、物価の高いロサンゼルスではなく、住居価格が安い他州に移住しようと考える方が増えたのは事実です。一方で、未だにビジネス関係でロサンゼルスに入ってくる人口も多いです。2008年の金融恐慌時の発端にもなった安易なローンによってふくれあがった不安定な需要ではなく、自分の住む家を買うという、堅実なバイヤー主導の市場であることはパンデミックに関わらず、今も変わっていない。金利が上がった今も固い需要は存在し、在庫物件の減少とともに、いまだセラーマーケットが続いています。たとえ市場がスローダウンすることはあっても、いきなり価格が大きく下がり始めるというようなことは期待できないであろうと予想するなら、今すぐ購入するのも悪くないかもしれません。「待つ」と決めた方に関しては、家の価格は今もなお、上がり続けている(上がり幅は穏やかになっています)ことを考えれば、待てば待つほど家の価格が上昇し続けると覚悟しておかなければなりません。

十分な頭金がないなら、買うのは待って!
インフレが続いていくなか、不動産を持っていれば、ある程度インフレ率とともに価格が上昇すると期待できるので、現金を不動産に変えてしまおうと考える方は増えてきています。また固定金利のローンを組めたら、たとえインフレになったとしても金利は期間中変わることがありません。
今、モルゲージの金利が6%近くと高くなり、「何ヶ月か前まではお家購入ができたのに、ここまで金利が高くなったら、残念ながら、購入を見送らざるを得ない」というバイヤーが多いのも事実です。購入価格の20%の頭金がなければ、銀行またはモルゲージカンパニーに”モルゲージインシュランス”(モルゲージに対しての保険)を払わなくてはいけません。十分な頭金さえあったら、節約できる”モルゲージインシュランス”の分はやはり無駄だと思う方も多いです。総合的に考えて、金利が上昇したがために、月々のお支払いが厳しいと判断した場合、絶対に無理は禁物です。逆に言えば、キャッシュ(頭金)をたくさん持っているバイヤーにとって、競合が少なくなくなるということなので、オファーが有利に働くことも十分に考えられます。
準備が整った時が「買い時」。
お家のような高額商品を購入する場合、誰しも「損したくない」という思いを強く持っています。「ついこの間までは、金利が3%代と低かったのに、、、」と躊躇う気持ちも理解できます。しかし、金利が上昇しても、頭金が十分貯まっていること、月々の返済(プロパティタックス、Home Owner’s 保険、HOAなどを含む)が長期的に無理のないものであること、収入は安定的に期待できることなどの条件が揃っていて、今が家を持つときであると判断するならば、それが「買い時」であるという考え方があります。
当面10年くらいは落ち着こうと思っている場所であれば、たとえ買った後値が下がったとしても、そのまま住み続け10年、15年たって値が上がったところで売るなら大きな損はないはずです。また今組むモーゲージの金利が高かったとしても、そのうち金利が下がったところでリファイナンスすればよいともいえます。(筆者も2016年に家を買った時は金利は5%台でしたが、その後5年のうち、二度リファイナンスして、最終的には3%を下回る金利に固定することに成功しています。)

市場よりも自分のタイミングを見計らって
ご自身のライフステージでのタイミングを考えて、将来リファイナンしてもいいということを念頭に置きつつ、今が家を持つときであると判断するならば、チャンスを逃さないで!