サンクスギビング(感謝祭)の時期、アメリカ中の家庭では家族が集まり、食卓を囲んで笑い合い、絆を深めます。しかし最近では、この「家族団らん」が一過性のものではなく、「多世代同居(Multigenerational Home)」という形で日常化するケースが増えています。
最新の全米リアルター協会(NAR)のデータによると、住宅購入者の14%が多世代同居型の住宅を購入しています。 親世代、子世代、そして孫世代。なぜ今、アメリカで「一つ屋根の下」で暮らす選択が増えているのでしょうか? 最新レポートからその理由を紐解きます。
【1. 高齢の親を支える「ケア」の視点】
これまでの傾向と同様、最も大きな理由は「親の介護・サポート」です。
• 購入者の41%が「高齢の親の世話をするため」と回答(2015年の調査開始以来、最高の割合)。
• さらに23%が「親ともっと時間を過ごしたい」と答えています。
施設に入るのではなく、住み慣れた家で年を重ねる「エイジング・イン・プレイス」が難しくなる中、家族が同居してサポートする形が定着しつつあります。
【2. 「ブーメラン・キッズ」と住宅価格高騰】
サンクスギビングの食卓で話題になりがちなのが「今どこに住んでいるの?」という話。記録的な住宅価格の高騰や頭金の負担増により、若い世代が独立して家を買うのは非常に困難になっています。
• 27%:一度独立した成人した子供が家に戻ってきた(ブーメラン・キッズ)。
• 21%:成人した子供が実家から出ていない。
「実家に戻る」ことは、今やネガティブなことではなく、経済的に賢明な選択肢となっています。
【3. 「収入を合わせる」という経済戦略】
多世代同居は、家計の面でも理にかなっています。
• 多世代住宅購入者の4人に1人以上が、世帯内に3人以上の収入源を持っています(一般的な世帯では11%)。
• ただし、世帯年収の中央値を見ると、一般世帯(10万9,000ドル)と多世代世帯(10万9,300ドル)に大きな差はありません。
これは、「高収入だから大きな家を買う」のではなく、「家族で収入を合算することで、ようやく住宅購入が可能になっている」という現実を表しています。
【4. 育児コストの削減と孫との時間】
子育て世代にとっても、親との同居は大きな助けになります。
• 多世代住宅購入者の34%には18歳未満の子供がいます。
• 12%が「孫と一緒に住むため」、6%が「育児コスト削減のため」に同居を選んでいます。
高騰するチャイルドケア(保育)費用を節約しつつ、祖父母が孫の成長を近くで見守れる環境は、家族全員にとってメリットがあります。
【まとめ:家は「壁と屋根」以上のもの】
サンクスギビングの食卓が片付けられた後も、家族の支え合いは続きます。高齢の両親をケアするため、社会に出た子供が資金を貯めるため、あるいは孫をみんなで育てるため。理由は様々ですが、不透明な経済状況の中で、「家族が集まり、助け合う」という原点回帰が、今のアメリカの住宅市場の一つの形を作っていると言えるでしょう。
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Yui Ueno
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